「大人買い」の七五三撮影
パスポートの更新をすることにした。有効期限は2008年12月3日。取得した時は遠い先だと思っていた10年先がもう来てしまった。
査証のページは半分以上埋まっていて、かなり使った気がするが、それでも2004年末の台湾旅行が最後だ。
もう4年も使っていないパスポート。・・・今度はいつ使うのか。いや、今度使うときは、新しいパスポートか・・。新しいパスポートは、今度、海外に行く時に取ればいいか・・・。 それは一体いつ?
そんなことをぼんやりと思いながら、パスポートを引き出しにしまったとたん、無性にさみしくなった。
12月4日からはもう、思い立ったらすぐに海外、なんてことができなくなる!
急な海外出張が入ったら!?
アフリカ滞在中の学生たちに何かあったら!?
急にベルギービールが飲みたくなったら!?
急にネロとパトラッシュが死んだ教会の絵が見たくなったら!?
疲れた体を休めたくて韓国アカすりの旅に出かけたくなったら!?
フランスのK子さんがついに主演女優デビューすることになったから見に来てって言われたら!?
インドネシアのM穂さんが子供たちと一緒に柔道チャンピオンになったから祝いに来てって言われたら!?
ザンジバルのMiyuriちゃんがようやく話したと思ったら「Junkoおばさんに会いたい」って言ったとしたら!?
いてもたってもいられなくて、パスポートの更新をすることにした。
ま、期限内に取得すれば戸籍抄本なんかを取りにいく手間が省けるしね。
それに、最近は、人の海外出張の手続きばかりをしているので、ふらふらっと自分の海外出張の手続きもとりたくなってしまう。
「いかん、いかん」と首を振って目を覚まし、取引の旅行代理店に「私のパスポート申請の代行もお願い」とメールして、気を紛らわせた。
旅行代理店にお勤めのM下さんはスワヒリ語の卒業生。やはり七海と同級生の男の子がいる「ママ友」でもある。
(← 3月のN島先生退職記念パーティーの時のM下さんとS太くん)
「申請の代行料が5000円かかる上に、受け取りは本人が行かなくてはならないが、いいでしょうか」というメールをもらったが、「ぜーんぜんOKっす!」と返事しておいた。
昔なら、5000円も払ってパスポートの申請に行ってもらうなんてことはあり得なかった。石にかじりついてでも、電車にしがみついてでも、自分で近鉄デパート8階のパスポートセンターに行ったことでしょう。
なぜ5000円払って代行を頼んだのか。次の中から選びなさい。
1.だから、さっきも言ったように、エミレーツの航空券を予約しそうになるのを避けるため。
2.ヤケ食いにも限度があるので、気前よくお金を使ってストレス解消!
3.申請のために天王寺まで出かける時間が惜しい。
4.最近、金銭感覚がマヒしてきた。お金をかけて済むことならお金で解決!
・・・。 言わずもがな、どれも正解。(え、1.も!?) 特に4.について解説しておこう。
昔、車に乗る友人が「最近はどんなに短い距離でも高速道路に乗るようになった」と言っていたことがあった。30代後半の頃だったか。
「ふむ、ふむ。確かに、この年になると、お金より時間が惜しいし、混雑する地道を走る忍耐力も低下してきたなぁ」と、気持ちはよく分かったが、それでもまだ私は、高速にのらなくて済むなら地道を走り、高速料金を節約する方を選択していた。年齢による忍耐力の低下だけが問題ではなかった。
その時友人はすでに定職について久しかったが、私はまだ、非常勤講師のフリーター。
「フリーター」のつらさは、前にも書いたように、「無所属感」にさいなまれることが一番だが、「低所得」であることの脱力感も大きかった。
読んだことはないが『年収300万円時代を生き抜く経済学』というような本を目にした時、「300万なかったらこの時代、生きていくこともできないのね」と脱力したものだ。毎年200万円あるかないかの年収。それで食べて行けるかどうかということよりも、それが自分の価値をそのまま表しているような気分にさせられることの方がツライ。「いいじゃない、ダンナさんに食べさせてもらっているんだから」・・そんな周りの目がさらに私を突き落とす・・・。
顔で笑って心で泣いて。そういう暗澹たる気分が底流にある時期を、ある時は投げやりに、ある時は忍耐強く過ごして、42歳も過ぎてようやく定職につくと、どうなるか。
今までは自分のことしか見えていなかったのが、ようやく「フリ―ター」同輩諸君の辛苦をわが身のことのように感じられるようになる。
わが身の「幸運」をかみしめつつ、同輩諸君にも「幸運」がおとずれますように、と心から祈るようになる。
そして、4.である。
特に散財するつもりはなくても、お金を使うことに対する抵抗感が薄れてきた。
昔友人の言った言葉が心から納得できるようになった。さらにETCの登場で、今や高速道路こそが私の走る道である。
相変わらずスーパーでは、【半額】シールが貼られている物を見つけては買っているが、そういう買い物ではなく、何か特別なものを買ったり、特別なものに支払ったり、というときに、高いだとか安いだとか思う間もなく、するっとお金が出るようになったのだ。
たとえば、服は相変わらずバーゲンでしか買わないが、買いに行って迷った時。
「うーん、こっちの黄色いブラウスがいいかなぁ。こっちの白のストライプも捨てがたいしなぁ・・・」とさんざん迷った挙句に、店員さんに向うや、「じゃ、これとこれ、両方ください。あ、ついでに、こっちのピンクの広い襟のやつも。」と口が勝手に言ってしまうのだ。
<え、こっちのピンクのもですか>と店員さんがちょっと驚いたような、喜んだような表情を見せた時に、<あ、この買い方、常軌を逸している>と気づくのだが、<でも、ま、いいや>とすぐに思い直してしまうところが、年を取ってから身に付いたお金の出て行き方なのかもしれない。
巷で流布している定義と少し異なるのだが、私は自分のこのような買い方を、密かに「大人買い」と呼んでいる。
前おきが長くなりました。
で、今年最大のメイン・イベント、七五三である。
七海が誕生した時、お祝いにと私の両親から着物をもらっていた。子供用の着物なので、七五三やお正月に着ないともったいないので、さっそく今年、七五三のお祝いに着せることにした。
着物を着せて神社にお参りに行く、なんてことは到底考えられず、第一ちゃんと着物など着れるのかどうかさえ案じられたが、とりあえず写真スタジオを予約し、二組のジジ・ババと両親揃い踏みで、記念撮影にのぞんだ。
私たちの懸念をよそに、お利口さんなことに、七海は嫌がりもせず、襦袢を着せてもらい、着物を着る前に髪をセットしてもらい、おとなしく着物を着せてもらった。
「ななみちゃん、かしこーいっ!」
「きゃー、ななみちゃん、かわいいっ!」
「きゃ、きゃわいぃっ! きゃ・わ・い・い・ぃぃぃ!」
親バカ炸裂である。
そして撮影となると、カメラの周りに、パパもママもジジ・ババも集まり、「ななみちゃーん、こっち、こっち!」「ななちゃーん、ほらほら、カメラこっちですよー」「ななみちゃーん、はーい、笑ってぇー」「ほい、ほい、な・な・みっ、こっちだよ!」と手を振って大騒ぎである。
七海といえば、笑顔でポーズをとる、というよりは、あっけにとられて立ちすくみ、こわばった笑顔を時折見せる、そんな感じだったでしょうか。
扇子や毬の小道具と一緒に立たされたり、鳥居の張りぼての下に立たされたり、欄干のそばに立たされたり。
← 欄干のイメージ図(スタジオのHPから。七海の写真は来月公開!)
鳥居の張りぼてに至っては、鳥居の上にかけてある額に『七五三』と書いてある。普通なら卒倒しそうなセンスだが、七海が下に立つと「まぁ、なんて七五三らしい鳥居!」と輝いて見えてくる。
手際のいいスタッフたちの段取りで、次々と撮影が進む。七海はとりあえず、じっとして、全シーン、上手にカメラに収まってくれた。草履を履くのを嫌がって、結局、足袋だけで、とか、大きな傘を差しかけられたけど、柄をうまく持てなかったとか、そういうのはご愛嬌で。
大コーフンの撮影会が終わると、撮ったばかりの写真をパソコン画面で見ながら注文をする。
同じシーンの中から一番いいものを選び、さらに、それらの中から選んで、アルバムの体裁にする。
どのシーンの写真も捨てがたい。しかし、すべてを選ぶと8枚になる。
「こちらのブック型ですと、10枚入って一冊の本のようになります(四万二千円ですけど)」
まぁ、それがいいわぁ! それにして! えーと、ブックに入れる写真、あと2枚は・・・、これと、・・・これ。
「ご両親さま用の写真はどのようになさいますか」
「えーっと、じゃ、見開きのアルバムで、左に集合写真、右にななみちゃんの写真を、・・・えーっと、これと、・・・これ、が、いいかな?」
「お義母さーん、どっちの写真がいいですかぁ? ・・え、おまかせ? ・・うーん、じゃ、こっちで。」
「じゃぁ、このアルバムは2セットでございますね」
「ええ。 あ、それから、アルバムとは別に、この写真を、キャビネ版で。」
キャビネ版は少し大き目の1枚物の写真で、これは写真立てに入れて飾っておく用。
お宮参りの時もスタジオで写真を撮り、見開きのアルバムを購入したが、それを取り出してみることはめったにない。アルバムの他に、写真立てに入れて飾っておく写真もいるよなぁ、と思っていた。
「はい、キャビネ版を1枚ですね(一枚五千八百円ですが)」
「あ、キャビネ版、こっちの写真もお願いします。・・・あっ、こっちのも。・・あ、これも!・・っと、これも!」
「っありがとうございます」
・・・カチャ、カチャ、カチャ・・
「では、お会計の方させていただきます」
(もう一度)カチャ、カチャ、カチャ・・
「こちら、十万ウン千ホニャ百円になりまぁす」
語尾の方がよく聞き取れない。十万・・?
隣でダンナが絶句する空気を感じる。
<十万? 七五三? そんなもん? ・・・まっ、いいか・・>
また、やっちまった? 「大人買い」?
手付金を払っていると、係りの女性がにこやかに言った。
「うちのHPで、お客様の写真をサービスで掲載させていただいています。遠くにいる御親戚などに見ていただけるんですが、ご利用になられますか。」
「えー、ぜひ!」
「掲載は来月以降になりますが、3か月間ご覧になれます」
「わーおっ、すばらしい!」
「どのお写真になさいますか。」
「うーんとねぇ、どれがいいかなぁ・・」
「普通は、一組様一枚だけ掲載させていただいてますが、お客様はたくさんお買い上げいただいたので、何枚でも。」
私はこれを聞いて理解した。<やっぱり、常軌を逸していたぁ!>
ということで、来月の写真大公開をお楽しみに。
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コメント
うふふ。毎回楽しく拝見してますが、今日は読み終わって、笑いが止まりませんでした(爆)。しかし、レベルの差はあっても(どちらがすごいとはあえて申しませんが。。)お金でできることはお金で、とか、大人買い、とか私も近頃経験していることばかりです。まあ、私の買い物って言ったら、せいぜい「のだめ全巻」とか癒し系の湯たんぽぐらいなものですが(笑)。七五三の写真、楽しみにしていますね
投稿: nora | 2008年11月21日 (金) 20時47分
そうですよね、この歳になると、「お金でできることはお金で」!

これが今の私たちには、なにより、なにより、ですね。
女は黙って<大人買い>
「使えるお金が増えたから」というよりは、「解消したいストレスが増えたから」ですよね、きっと。
noraさんの癒し系グッズ、はじめ枕かと思ったら、羊さんの湯たんぽ
ストレス解消&心身の癒し
投稿: Junko | 2008年11月22日 (土) 23時26分
久々の更新のぞきに来ました♪
お、大人買い・・・ご主人のパ●ンコ散財と趣きが似ている
ような気配もございますが(笑)
このまま積み重なると、案外ドバイ往復航空券くらいの
額になったりして((((((((^^;
これ以上いらないことを言ったら、お宅に寄れなくなりそう
なのでこのへんでトンズラいたします♪
ピョーン°゜°。。ヘ(;^^)ノ スタコラサッサ。
投稿: U野 | 2008年11月25日 (火) 10時34分
はは、夫婦して「散財」マニア(^-^;?
っていうくらい「回収」してくるところが、
いやぁ~、「放蕩ダンナ」の使い方には負けるけどねぇ~。
累積はドバイ往復航空券何枚やねん\(;゚∇゚)/って感じでしょうなぁ。
しかし、年に1度ほど往復航空券買えるで
またスゴイところで・・・。
もうブログに書くのも憚られますが、この間も、またまた「放蕩ダンナの新記録」樹立!
はは、これ以上、いらんこと書いたら、
なのでこの辺でトンズラすることにしまぁす!
==⊂二二二( ゚ω゚)二⊃ ブーーーン
投稿: Junko | 2008年11月25日 (火) 19時22分
miyuriに「Junko先生に会いたい」って言わせるように洗脳しておきます。今のところ英語とスワヒリ語の単語しか発してないので是非スワヒリ語で!(目的語接辞が抜けてるよ!なんて注意したりして…。)
それにしても大人買い、うらやましいですねえ。こちらの大人買いといったらカンガを迷ったら全部買う、くらいのレベルです。もしくは市場でウガリを5キロ買う、バミアをキロ単位で買う、そして周囲が驚く、くらいでしょうか…。ある意味散財せずに助かってるかもしれません。
投稿: mamamiyuri | 2008年12月 1日 (月) 20時33分
そっかぁ~、Miyuriちゃん、英語とスワヒリ語を発し始めているのね!
に帰して、日本語も発してもらわないとね。
冷静に考えればそうなるんでしょうが、なんだか驚いたわ。
まめにKumamoto
投稿: Junko | 2008年12月 2日 (火) 18時46分